ZOOMのUAC-8は優秀なオーディオIFだった

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喜べ!国産だぞ!

ということでZOOMのUSB3.0SuperSpeed対応のオーディオIF、『UAC-8』のレビュー。

RMEのFireface400の故障を切欠に購入したものです。修理して使うよりは、IEEE1394という旧世代かつwin機と相性の悪いインターフェイスから脱却したい事もあり何か別のものを、と。

当方オーディオIFの音質についてナーバスな方ではないと思うのですが、その反面でレイテンシ値については恐らく人一倍シビアかと。オーディオIFの選定に当たっては他にもUAの「APOLLO TWIN USB」やMOTUのUSB対応の諸製品、またはSTEINBERGのUR824等色々候補に挙げ悩みましたが、最終的にUAC-8に決めたのもやはり低レイテンシを売り文句としている点が理由でしたね。


・はじめに

このUAC-8に限らず様々なオーディオ製品のレビューを行っている、界隈でとても著名な藤本健氏の本製品レビューを購入に当たり参考としました。以下の私のレビューは楽曲制作者として少し突っ込んだ視点からのものになりますので、UAC-8の購入をお考えの方、また興味がおありな方はスペック面や機能面等に渡り手広くフォローしている藤本氏のレビューもご参考とされる事を強くお勧めします!

:驚きの低遅延USB 3.0オーディオ。ズーム「UAC-2」と「UAC-8」の実力 / 藤本健のDigital Audio Laboratory(AV Watch)


・音質面

硬めで纏まりのよい、すっきりとした出音です。所謂ハイファイオーディオ的な感じといって先ず間違いないでしょう。またラインアウト及びヘッドフォンアウト双方ゲインが高めなので、音量の設定幅に余裕があります。

入力に関しても同傾向がみられます。また特記すべき点として、S/N比に極めて優れます。

一点気がかりな点としてRMAAを介したF特性ですが、
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この様な結果となりました。なお上記計測時は44.1kHz、24bitですが、96kでの計測においても同傾向がみられました。

この中域450Hz周辺の0.5dB程度のピークは聴感上気になるものではありません。RMAAでの計測はアナログ出力と入力とを結線しループさせて行いますから、このピークが出力或いは入力どちらによるものなのか、或いは双方に同傾向があり増幅される形でこの結果となっているのかは今のところ判断が難しいですね。

なおUAC-8のDACは旭化成のAK4413、ADCは同社のAK5388となります。


・レイテンシ及び負荷面

先ず私が楽曲制作時主に用いている、44.1kHz、24bit環境でのCubase内実測値を。
※ちなみに後述しますが以下の数値はいずれもUSB2.0接続時のものとなります。

32サンプル
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64サンプル
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128サンプル
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本機の場合自宅環境下では32サンプルでの動作でも音途切れや処理落ちが一切発生せず安定動作させる事が出来るので(勿論これはCPUやOSなんかの絡みで差異が出る部分かとも思いますが)、あとはシーケンス全体のVSTプラグイン使用量等と照らし合わせた、CPU負荷とも相談しつつ動作サンプル数を決める形になりますが、最終的に若干余裕をもたせる形で64サンプルで動かすのはベストかと考え現状そうしています。

同環境下でフルシーケンス(ミックス済音源)を走らせた場合におけるCPU使用率も各サンプル毎に載せておきます。自宅環境のOSはwin7 SP1、CPUはCi7 950です。

32サンプル
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64サンプル
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128サンプル
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44.1kHzでの安定動作環境下で往復レイテンシが5ms相当という数値は、これまでIEEE1394デバイスは勿論、PCI接続のオーディオIFでもなかなか出し得なかったものです。特に入力遅延がごく僅かという点で制作時の恩恵は大きく、MIDIキーボードを用いたリアルタイム演奏時前倒しに入力する必要がなくなり、ノートデータが本来あるべきポイントに収まるのでMIDIクォンタイズにおける誤認が減り、結果的に打ち込み作業が円滑化します。


・機能面及びユーザインターフェイス

この項で欠かせないのが、
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ソフトウェアミキサー「UAC-8 MixEfx」の存在です。なにせ私がこれまで用いていたのがFireface400だったという事で、「ややこしい」「判り難い」と専ら評判の「TotalMix FX」あたりが主な比較対象となるわけですが、この「UAC-8 MixEfx」は実にシンプルで操作性も良く、恐らくこういった機材の扱いにある程度慣れた方であればほぼ初見で概ねの機能にアクセス出来、やりたい操作が行えるであろう配慮がなされています。

私的に「これはいいぞ」と思ったのは、任意の出力を入力信号として回す事の出来るループバックがワンタッチで容易に行う事が出来る点。これがあることで例えば、

・今PCで観ている動画の音声をDAWで録音できる
・スカイプ等でのボイスチャット時や或いは動画配信時、例えば現在プレイしているゲーム等 の音声にマイク信号をミックスさせて通話相手や閲覧者に返せる


こういった、ハードウェアによっては不可能だったり、或いは設定のややこしい操作を簡単に行う事が出来ます。もっとも人によってはまったく使用しないという事もあるかもしれませんが、私的には非常に恩恵の大きい機能ですね。


ハードウェアの方はオーソドクスかつ堅牢性の高いつくりになっています。金属製で結構ずっしりとしており、実勢¥60,000程度という価格以上の質感があるかと考えます。

私的に特に気に入っているのは、
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このアナログボリュームノブですね。サイズが大きく、取っ掛かりなくスムーズに動かせます。


・難点等

使用者の感覚に委ねられるところではありますが、私的には先ずファンタム電源のオンオフが入力1-4ch、5-8chとの2ペアで一括管理されているという点が気になりました。最も例えば電源を用いないダイナミックマイク併用時であれ、或いはラインやHi-Zを用いたインスト併用時であれファンタム電源が入っていようと何か悪影響をもたらすものではないという事は承知していますが、なんだろう、まあ気分的なものですね。
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次にヘッドフォン出力が2系統存在するのですが、うち1の方に関してはメインアウト信号と完全にリンクする形になりますので、例えば1に繋いでいるヘッドフォンを用いてモニタリングを行い、その際モニスピからの出音はミュートするといった際は、それぞれに装備されたアナログのボリュームノブを回しての音量制御が必須となります。

オーディオIFの置き場所によってはボリュームノブに触れるのが面倒/困難ということもあるでしょうから、この点も「UAC-8 MixEfx」を用いて操作出来ればベターでした。


最後に、USB3.0を用いた接続を行う際の相性問題が挙げられます。最もこの点はUAC-8固有のものというよりは現状USB3.0そのものが抱えている問題という方が適切かもしれませんが。

USB3.0にネイティブ対応していない旧世代のマザーボードを用いている場合、PCI-E拡張端子を用いてUSB3.0ボードを増設する形になります。ですがその場合実はUSB3.0本来の性能を100%生かし切る事は出来ず、接続するデバイスによっては不安定化したり、或いはチップメーカーによっての相性問題が生じます。

自宅環境がまさにそれで、うちの場合RenesasElectronics製のチップを搭載した拡張ボードを積んでいるのですが、そこ経由でUAC-8をUSB3.0を接続すると、ふとした拍子にデバイスエラーが生じる事があります。

最も本機の場合実はUSB2.0接続でもレイテンシ等のパフォーマンスが大幅に落ち込む事はありませんので、ひとまずの対処という事ということでそうしています。そろそろCPUも変えどきかと考えているので、伴ってのマザー交換時にまたじっくりと、USB3.0接続時における本機の動作を検証してみたいなと。


・総評

前述の通りこれまではFireface400を、それ以前にはMOTUの828mk2或いは2408等といった中堅クラスのオーディオIFを主に取り回してきた身ですが、今回程よい感触をうけたものは過去に何かあったかな?というレベルでとても良いハードウェアだと考えます。

ZOOMというブランドに対して「プロオーディオメーカー」といったイメージを有す方は現状先ずいないでしょうし、私もやはり本機の購入においては正直最後の最後まで懐疑的な面もあったんですが、心配は無用でしたね。お勧めです!

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